ぬいぐるみのニャンコの夢の成長をつづる絵本
猫が登場する絵本というのは、世界中にたくさんありますが、この「せかいいちのねこ」はちょっと変わった切り口で猫の世界を描いています。
というのも、主人のニャンコはあくまでもぬいぐるみなのです。
このぬいぐるみのニャンコが、本物の猫を見て自分も猫になりたいと思って生活する様子が絵本になっているのです。
著者はヒグチヨウコさんで、白泉社から出版されています。
絵のタッチは、どちらかというとヨーロッパ絵本のような雰囲気があって、細かいところまでしっかりと描かれているのが特徴です。
リアル感のある絵ですが、それぞれのキャラクターのかわいさや、微妙な表情による感情の表現がしっかりとされていて、絵を見るだけでも引き込まされてしまいます。
ぬいぐるみのニャンコの猫との出会いに心温まる
猫になりたいぬいぐるみのニャンコは、たくさんの現実の猫に出会う旅に出ます。
いろいろな個性を持った猫たちに出会って、猫の優しさやかっこよさに触れていくのです。
こうしていくうちに、ニャンコは本物の猫になりたいという気持ちをさらに強めていくことになります。
いろいろなタイプの猫が出てきて、特に猫の優しさが強調されている絵本となっています。
仲間の猫と一緒に過ごす様子や、ニャンコのことを大事にする感じが、読んでいてホッとさせるものです。
絵のタッチと文章がとても合っていて、子どもだけでなく大人もこの絵本の世界にはまり込んでしまいます。
また、とても味のある内容ですので、一度読んでもまた繰り返し読みたくなる不思議な魅力を持っています。
最初は、一気に初めから終わりまで読んでしまうのですが、次はじっくりと絵に注目しながら読んでみるよう促されます。
何回読んでも飽きることのない、猫絵本の秀作と言えます。
飼い主に対する愛情が伝わってくる絵本でもある
ニャンコはぬいぐるみですが、とても感情豊かです。
本物の猫になりたいと思ったのも、そもそも持ち主である男の子にずっと好かれていたいという気持ちからです。
純粋な優しい心がニャンコの魅力で、絵本を読んでいる身としてもついつい応援したくなってしまいます。
感情移入しやすい絵本で、ペットなどの気持ちってこうなのかな、と感情が分かる気がしてきます。
絵本の中で猫の微妙な表情が巧みに描かれていて、それもまた猫の飼い主に対する愛情を表現するものとなっています。
この絵本を読んでいると、より愛猫への気持ちが深まるような気がします。
猫好きな人はもちろんのことで、ペットを飼っている人ならぜひおすすめしたい一冊です。
絵もち密に描かれているので、大人向けの絵本とも言えるので、年齢に関わりなく誰でも楽しく読むことができます。